2008年8月
前回の地震からしばらくしてまた地震があった、今度も東北地方が震源である。
すぐ頭に浮かんだのが旅行のこと。こんな頻繁に地震があって、ほんとに大丈夫かいな?
「今度行く旅行、地震が起きてる傍なんだよね、まぁ大丈夫だとは思うけど、今ならキャンセルできるから、お舅さんたちに聞いてみてよ」
女房は新聞を持って、震源地と旅行先の近さを説明しに行った。
旅行は行きたし、地震は怖し、腕組みして思案していたが、死ぬのを一番怖れているお舅さんは、断腸の思いで行かないことを選んだ。
お姑さんも温泉、温泉と楽しみにしていたが、連れ合いがそう決断した以上従わざるを得ない。
かくて、東北三陸の旅はキャンセルと相成った。お姑さんには気の毒だったが、私としては、してやったりだ!
お舅さんがDVDプレーヤーを買ってきたことで、腹立ち紛れに一方的に独断でキャンセルした訳ではない。
お舅さんたちも納得の上で、同意したのだから私のせいではないのだ。
目には目を、歯には歯をである。私は執念深いと言ったでしょ、これで少しは溜飲が下がった思いがした。
もう7月も末、これから東北地方以外の新たな予約が取れるかどうか、無理なんじゃないかな〜

信号待ちの上海一族・・・・お姑さんの自転車がヤケに小さい |

真夏のサイクリングもまた楽し・・・・熱中症と脱水症に気をつけて |
その日も朝からジリジリと強い日差しが照りつけていた。
今日はこの暑い中、女房とお舅さんお姑さんの3人は、秋葉原から浅草、上野に出てアメ横を回るのだと言う。
地図を広げて、ああでもない、こうでもないと喧々諤々お舅さんと行き方を論議している。
ヒョイと横から覗き込み、なんだ、俺だったら地図なんか見なくたって行けると思ったら、また余計な一言が口を突いて出た。
「道案内に、俺も一緒に行ってあげようか?」
何のことはない、苦労を買って出たようなものである。
余計な一言から、炎天下の東京散歩に付き合う羽目となってしまった。
脱水症になっては大変と、行き掛けに100円ショップで、それぞれの飲み物を買う。
お姑さんだけは、どんなに暑くても冷たいものは飲まないので、ポットに熱いお湯を持参してきた。
後楽園の東京ドームを説明して、真っ直ぐ御茶ノ水を抜けて秋葉原へ。
上海にいた時に起こった無差別殺人のあとで、一種ピリピリした空気が感じられた。
名物だったコスプレ喫茶嬢の呼び込みも見られず、昔の秋葉原に戻っていた。
女房が、折角、来たのだから、家電量販店をお舅さんたちに見せてくると言い出した。
家電量販店なんか家の近くにいくらでもあるじゃないか、そんなのどの店見たって同じだと思ったが、何でも興味が尽きないお舅さんたちを思って、ここは自転車番に甘んじる。
東京は今やどこの駅前でも、自転車が置けない。定期的に大きなトラックが来て、違法駐車の自転車をどんどん積み込んで持って行ってしまうからだ。
私の住んでいる区では、公園の地下に巨大な駐輪場を作ったが、駅から遠いためいつもガラガラ。
まったくのお役所仕事で、自分のお腹が痛む訳じゃないから、採算なんて考えないで造ってしまうのが恐ろしい。
秋葉原を出て、浅草橋を左に曲がり、真っ直ぐ行けば浅草である。
先頭を行く私はかなりスローペースで走っているつもりだが、最後尾のお姑さんとかなりの差がついてしまう。
なんせ車輪が小さいのだから、本人は一所懸命走っているつもりでも、段々と距離が離れて行く。
私らはお姑さん待ちで、日陰に入って休むこと度々。片や汗を迸らせながら、真っ赤な顔をしてやっと追い付いたと思ったら、先頭の私が出て行くので、わたしゃ休む間が無いとぼやいていた。
浅草はすし屋通りなんていう裏手に出てしまった。きっとすし屋が多い通りなんだろうが、今日は食べたくない。
他にも色々な店があったし、どこもランチは安かった。
ちょうどお昼も近いし、ここらで何か食べてから、仲見世を抜けて浅草寺に行けばいい。
だが、女房のヘソ曲がりは、どうしてもマクドナルドがいいといって譲らない。
アホかぁ、なんで浅草まで来てハンバーガーなんだ!2人ならともかく、今日は二親連れだぞ。

ちょっと道を間違え浅草裏手に・・・・すし屋通りでお昼とするか! |

女房の鶴の一声・・・・な、何で浅草まできてハンバーガーなんだ! |
てんぷら屋や洋食屋を横目で見つつ、自転車を押してマクドナルドを探しながら、商店通りを歩く。
あんたの親じゃないか、可哀想だろ!麦当労(マクドナルド)なら上海だって、いくらでも食べられるってのに。
お舅さんたちも不満だったには違いないが、所詮はゴチになる身、あれこれ注文はつけられる立場にはない。
もし私がいなかったら、親子だからもっと気安く言えたかも知れないが、それでもマクドナルドで押し切られたろう。
昼時のマクドナルドは大変な混雑振りだった。
女房が買いに行っている間、お舅さんとお姑さんは食べ終わってそろそろ席を立ちそうなテーブルの前に仁王立ち。中国式席取りの極意を披露して難なく席を確保した。
束の間の安息、エアコンがギンギンに効いて別天地を思わたが、ハンバーガーの1個くらい、あっという間に完食である。この涼しさの中でもっとゆっくりしたかったが、席待ちの客がズラリといては気が引けた。
さすがに仲見世は自転車を押して歩けないので、裏路地を抜けて、例の大提灯がぶら下がる雷門に出た。
ピカピカに磨き上げられた、いかにも高価そうな人力車が数台停められているのが目に付いた。
傍では紺の腹掛け姿の客引きが、盛んに愛想を振りまきながら乗ってくれる客を探している。
試し乗り10分で2000円、浅草観光回りで8000円だか1万円のことを言っていた。日本は人件費が高いのだから仕方がないが、中国の人力タクシーなら精々10元(150円)くらいかと思うと、泣けてくるようだった。

現代版、無法松・・・・値段が高いから乗るお客は少なかった |

笑顔も引き攣る浴衣娘・・・・中国人グループが無理やり撮らせ〜 |
私と女房はここで自転車番をしながら待っていて、お舅さんたちだけで浅草寺見物に行ってもらった。
雷門は観光客なら誰でも写真に撮るスポットで、とりわけ外国人で賑わうところでもある。
ということは、中国人も当然いる筈・・・・・・・・いた、いた、写真を撮る時、邪魔になる人を平気でどいてくれなんて言いそうな4〜5人のグループ。
押しが強いというか、遠慮がないというべきか、はたまた厚顔無恥なのか。暑い最中、涼しげな浴衣を着た若い娘に写真を撮らせて欲しいと身振り手振りで懇願。
OKとなったら済し崩しに、ちゃっかりと一人ずつ傍に寄り添っての記念撮影。厚かましいやっちゃ!
中国人だけに、いいとこ取りされて堪るかと、私も負けずにご相伴撮影。結局は同じ穴の狢ということか?
さて、夕方も近い、最後の上野アメ横までひとっ走りだ。
お姑さんが疲れたのか、更に遅れ気味。一所懸命漕いでも漕いでも追い付かないもどかしさで嫌になったか?
一本道で距離も大してないのだが、2、3度小休止してお姑さんを待った。
気が急いてる私は、後方からトロトロやって来るお姑さんを確認すると出発してしまう。
だが、さすがは娘だ、やっと追い付いた母者に労わりの声を掛け、少し休ませる。お舅さんは私を見失ってはまた大変と、中途半端な距離をとって出発していた。
自転車キャラバン隊は、縦に長〜く列が延びて、私は上野駅が見える大きな交差点でしばらく待つことになる。
ようやく4台が顔を揃え、アメ横の裏手に回って自転車を置く場所を確保する。
女房を始め一族は、中国式に念を入れて錠を掛ける。
そんな丁寧にしなくても大丈夫だって、日本は自転車なんか持って行く奴はいないよ。
もって行くとすれば違法駐輪で撤去する役所の連中だ、だけどもうこんな時間だから回って来やしないよ。
徒歩で魚市場へ向かう。らっしゃい!らっしゃい!と威勢のいい呼び込みが飛び交っているのは毎度のことだが、私には「よう、とっつぁん!また騙されに来たか」と言っているようにも聞こえた。
お舅さんは懐かしそうだ、10年前にもここへ来たが、つい昨日のように思い出される。
らっしゃい!の掛け声はここで覚えて行ったが、お舅さんにはそう聞こえたのか、らっしゃい!が青森ねぶた祭りのラッセー、ラッセーになっていた。

大きさは上海蟹の?十倍・・・・どうだ、参ったかお舅さん! |

タラバ蟹は旨さだって天下一品・・・・日本蟹の真髄ここにあり! |
「らっしゃい!らっしゃい!おとうさん、蟹の安いのあるよ。ちょっと見て行きなよ」
その手にはもう引っ掛からないぞ。安くて旨い蟹なんてないんだと自分に言い聞かせる。
タラバ蟹の足がビニール袋に入れられて、沢山並べられている。マジックで6000円と書かれているが、2000円でいいと声を枯らして叫ぶ。そんなに安く出来るんじゃ、6000円の根拠は一体何なんだ。
「おとうさん、見て行くだけでいいんだから、見て行きなよ!他の店とはモノが違うんだからさ」
買う気のある客と瞬時に見抜かれたか、並べてあるものとは別の発泡スチロールの箱に入った氷詰めの奴を出してきた。これは身が一杯詰まった特上品だとのたまう。
「この前買ってった奴は、身がスカスカだったからさ、どうも信用できないんだよね」
「あっ、おとうさん、それは騙されたんだ。人の良さそうな顔してっからね、俺はそんなことしねぇから大丈夫だよ」
自分から信用できる男なんていう奴に、信用できた試しがない。親父は袋の裏を見せ、これが何よりの証拠と産地などが書かれたシールを水戸黄門の印籠のように恭しく見せた。
「あまり大きな声じゃ言えないが、これがない奴は、大体規格外品なんだ。だから絶対保証付だよ」
「規格品なら足が折れてなくなっている奴なんて無いでしょ、こんなのもっと安いんじゃないの?」
「足の1本や2本なくたって、味には変わりないんだ、中身で勝負だよ」
私がそう突っ込んだら、女房も別なのをひっくり返し、これも足が折れてる、足がないと騒ぎ出した。
お舅さんたちは日本流値切りのやり方を、とくと見聞している。言葉が話せないんじゃ、加勢の足しにもならない。
「これは特上品だから3000円のところ2500円でいいよ」
「だからこれは特上品じゃないって!そりゃいくら何でも高すぎるよ」
女房がまだ先に沢山お店があるから、そっちも見てみようと肘で小突いた。
他も覗いてくると立ち上がったら、ここで逃がしては百年の不運とばかりに親父が叫んだ。
「幾らならいいんだい!」
「2つ買うから4000円!」
「わかった、わかった、それでいいよ」
基本的には上海の値切りと変らないなと思いましたね。
お舅さんたちは一回りして、何の魚の頭か分からないけど頭だけ3つと、割と大きいイナダを一匹丸ごと仕入れた。前回も一匹食べ尽くすのに大分日にちを要したのに、もう忘れてしまったのだろうか?
どんな料理に仕上がるのか、どっちにしても私は食べないからいいんですけどね。
| 2008年9月20日更新 次回まで中国ランキングのクリックよろしく。 |
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