マッドスキッパーとは何か。
マッドスキッパーとは、英語で’mudskipper’、つまり「泥の上を飛び跳ねるもの」という意味で、日本語では「トビハゼ・ムツゴロウ」といわれる仲間のことです。生息場所は、おもに川の河口域・汽水域に広がる、泥の干潟あるいはマングローブ林内です。 これらの分類群は、スズキ目ハゼ科の仲間です。世界での分布は、ヨーロッパおよび南北のアメリカ大陸には生息しません。赤道付近のアメリカ大陸の国にはマングローブ林はありますが、マッドスキッパーの仲間は全く見られません。
マッドスキッパーの仲間は、厳密な意味で
- 活動する主な場所が、水の中でなく陸上であること
- 陸上ではエラ呼吸だけでなく、皮膚呼吸など別の呼吸方法もおこなうことができる
ということがあげられます。この厳密な意味に当てはまるものは4属あります。 日本で生息するものでは、トビハゼ属Periophthamus(トビハゼ・ミナミトビハゼ)・ムツゴロウ属Boleophthalmus(ムツゴロウ)・トカゲハゼ属Scartelaos(トカゲハゼ)と、日本にはいないが東南アジア〜北オーストラリアに広く分布する、Periophthalmodon属(ペリオフサルモドン) があげられます。
これらのグループは干潟の上を歩くことができ、陸上にいるときは皮膚(ヒフ)呼吸をメインとしています。また、繁殖の時に重要な役割を果たす求愛行動も陸上で行われ、その動きは干潟上ではとても目立つようなもので、視覚に訴えるものです。
広い意味でマッドスキッパーを言われるときには、上記の4属に加えて最大10属になります。これはその人の定義によって変わってきます。 広義で使われるときは、
- 体が完全に水から上がらない(目玉くらいは空気中に出ることもある)
- 河口域の泥干潟に生息する
- 比較的胸ビレが発達していて、腕のようにして前に進むことが多少できる
- 泥水内で、酸欠に強い
- 目が上の方にあって、視覚による探索もかなりできる
ということを含んでいるようです。
ただ、わたしの感覚的には広義に使われているマッドスキッパーは、ピンとこないものが多く含まれていると思います。
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