トビハゼの生理的特徴 その2.窒素代謝
陸上生活する魚にとって、呼吸の次に問題があるのが窒素代謝です。その前に、まず魚類の窒素代謝について簡単に説明します。動物が栄養を取り入れたとき、必要なものを取り込んだ後いらないものは体外に出さなくてはなりません。炭素や水素・酸素は水になったり、構造が簡単なタンパク質などに変えられ、おしっこやうんことして排出します。 この時窒素(N)は、人間の場合は尿素という無害なものに合成されて、おしっこの主成分として出されます。
魚類の場合、水の中にすんでいる特長を生かして窒素を排出します。窒素化合物の中で、アンモニアは水にものすごくよく溶けるという性質を持っています。魚たちは窒素をアンモニアにし、水に溶かしてすぐにからだから出してしまいます。
しかしアンモニアは体内に置いておくと非常に危険な有害物質です。特にエラや脳には致死的なダメージを与えます。そのため長く水の中に入らないトビハゼにとってはいつも毒を体にもっていることになってしまいます。
そこでトビハゼは、危ないアンモニアをそのままにしないで、アミノ酸という体に無害なものに変えて体に貯めておくのです。そして水に入ったときにもう一度アンモニアをアミノ酸から切り離して排出するのです。
トビハゼ達が水の中に時々はいるのは、体の表面が乾くからだけでなく、体にたまったアンモニアを出す必要もあるからなのです。
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