焼山スキー

2008年3月8日(土)新潟県糸魚川市焼山(やけやま)

日帰り組 お気楽さん もと
テン泊組 よっちゃん たかやん MATさん きむっち かっきー 大ちゃん 



 焼山という名の山は全国にたくさんあるが、今回のは頸城三山のひとつである焼山である。新潟県は糸魚川市笹倉温泉が出発地だ。フォッサマグナである糸魚川周辺は溶岩の塊みたいな山が多く、まさに頸城山塊と呼ぶに相応しい山々が連なり、雨が降るととたん川の水が黒くなるというちょっと特異な山域である。

 あっという間に3月だ、とても暖かい。雪がだいぶ汁くなっている。私は、三田原山遭難の件もあり、しばらくは月曜日に重要案件のない週末のみスキーに参加することにした。今回の焼山は、樹林が少なく開けており迷う心配はないということだった。安心である。

 徹夜強行で笹倉温泉に集合。メンバーは関西富裕民のよっちゃん、MATさん、たかやんと、関東浮遊民のきむっち、ケモ氏、お気楽さん、かきさん、そして温泉の浮遊物に等しい私の8名である。あめやんは決算期のため涙を呑んで不参加だとか。余談だが、いつも余計なことを書きすぎてしまい「勝手にキャラ作らんといて!」とクレームが出始めたので控えることにした。(たかやんのうんこキャラ、あめやんの刹那キャラなど)






 今週は土日とも快晴の予報で嬉しい。でも、木金でかなりの降雪があったらしくそれなりのラッセルが予想された。そのため、日帰り組のお気楽さんケモ氏にラッセルをお願いし我々テン泊組は、トレースを追い天場までのんびりと行くという作戦を立てていた。ところが、車で仮眠するお気楽さんケモ氏は、夜が明けても一向に起きる気配が無く、見事出遅れてしまう。いきなりの作戦失敗。そしていつものように、全員ダラダラと準備に時間をかけ、だいぶ明るくなってから出発した。

 気温が高いためか雪がだいぶ緩くなっている。例によって、やる気ほとんど無しのケモ氏が、よっちゃんからレンタルしたスキーセットでラッセルを開始する。骨折した足は大丈夫なのか。そして、重量物運搬班の我々が後ろに続く。特によっちゃんの荷物(テント)がめちゃ重く罰ゲームに等しかった。


フレッシュトレイル





 ジグザグに急登する林道を「ぎゃーぎゃー」叫びながら喘ぎ登ると、すぐに汗が湯水のように滴り落ちる。やはりトレースのない土曜スキーは大損だ。時間が2倍も3倍もかかってしまう。重いテントがザック上部で荷物のバランスの悪いよっちゃんは、ちょっと傾いただけでずっこけている。若い頃には40キロの荷を背負い縦走していたらしいが、そろそろ歳には勝てないか。たかやんとMATさんは、ザックが重ければ重いほど山が高ければ高いほどやる気を出す山ヤのキャリア組。耐えることにおいては極めて強い。きむっちは、いつもザックの重量無視でとにかく余計な道具が多い。今回もノコギリは余計だった。かきさんは、足がまだ完治してないのに毎週山へ通っているので足が余計悪くなっているとか。ネオパパのお気楽さんは、三田原山遭難戒厳令を無視しての強行である。昨夜もステルス(棄て留守)のように家を抜け出てきた。前回の焼山では惜しいところで敗退しているらしいが、今回はどうだろうか・・・。ケモ氏は現在、山行資金を大阪で荒稼ぎをしているらしいが、、、


ファイヤーマウンテン





 東へと流れ去る雲が徐々に薄くなり、ようやく陽が射しはじめた。アマナ平で重量物を降ろす。よっちゃんはここに荷物をデポしたいという。私はもっと前進したかったが、よっちゃんはもう重量物を背負うのは嫌だと珍しく頑固だ。なんでそんなに荷物が重いのか?と不思議に思ったが、なんとよっちゃんのザックの中から別のザックが出てきて全員ビックリ。普通は、メインザック+軽量サブザックという組み合わせになると思うが、よっちゃんの場合、メインザックの中からメインザックが出てくる有様。そんなんでよくここまで重量テントを担いできたものだと感心する。「そろそろ大型エスパース欲しいよね」というか雪洞掘ったらええんちゃーう?札幌雪祭りのような巨大なやつ(それは雪像)。というか実は雪洞の掘り方知らねーんだ。そんな高度な技術(労力)ありませーん。「かまくら」ならすぐ作れるけど。・・・ということで、結局アマナ平からピストンすることになった。これではほとんど日帰りと同じだ。とっても損な気分。


賽の平原






 もう10時も過ぎているので気が焦る。確かに身軽になった分、ラッセル効率は上がったが、アマナ平までの肉体的ダメージが残っている。焼山直下の広大な平原では、寡少戦力ながら私が一汗かく。まさに体脂肪燃焼だ。身に纏うラーメンスーツがだんだん軽くなってゆくのを実感する。ところが、持参したノンカロリーバーム500mLをあっという間に飲み干してしまい、喉が渇いて失速する。山にノンカロリードリンクは失敗だったか。先行をかきさんと交代した直後から体調不良になる。気が焦りちょっと飛ばし過ぎた。休んでも息切れは治まらないし気持ち悪くて吐きそう。喉の渇きに耐えかね何度も雪をほうばるが、口で溶かした僅かな水分だけでは喉の渇きは癒せない。しかも、ここからまだ高度差800m以上もあるそうだ。それを聞いて気分も失速。もう飲料水不足で個人的には敗退モード。肝心の急登はまったくの戦力外となり、皆には大変迷惑をかけた。少しランニングでもして心肺機能を鍛えねば。

いよいよ急登へ(高度差800m)








 いつもならラッセル無しの急登斜面、今日はたっぷりと雪が溜まっている。確かに下りはパウダースキーを楽しめそうだが、前半の重量物運搬のダメージと時間ロスは大きかった。全員ペースが上がらない。私はもう、トレースについて登ることすらままならない状態だ。ケモ氏曰く、平地でがんばり過ぎたあと急に高度が上がったため、軽い高山病になっているのだとか。実は高いところ(空気の薄いところ)は体質に合わない。すぐに具合が悪くなる。

焼山外輪





 見た目よりでかい山だ。焼の鎧は我々をじわりじわりと苦しめた。容易くは登れない。なめとったら噴火するど。頂上まであと200mというところでクラスト斜面となり、スキーからアイゼンに履き替える。スキーのまま登ろうとしていたきむっちがスリップし滑落(ウケ狙いと解釈)。100mほど喘ぎ登ったところが平坦地になっており、この周囲全部が焼山の外輪で、ピーク手前の窪みがお釜だそうだ。最高ピークは目の前の岩峰であるが、15時もすでに周っており日帰り組はそろそろ時間切れ。ピークに拘るたかやんは残念そうだったが、外輪も頂上の一角だ。良しとしましょう。今から思えば宿泊組だけでも行けば良かったか?しかし、焼山はお気軽系だと聞いていたけど実際にはかなりきつかった。次回は三田原山から火打山〜焼山のスキー縦走をしてみたい。周辺にはあと昼闇山や空沢山、金山もあるし。

山のミシュランガイドに登録





 滑降は、時間的に雪がちょい重だったが今季で一番良かった。今日は我々以外に誰もおらず思う存分雪煙を上げた。登りで疲れきった足だったが雪質のためかただ板の上にただ乗っているだけでスキーが出来てしまう。登りの苦労を忘れみんな思い思いにスキーを楽しむ。

焼山ドロップ




焼山セラピー




焼山日焼けサロン




真剣な顔




ノーリミット!!




















 スキーの板が、まるで人の足の一部であるかのよう「しなやか」で、板に筋肉のふくらみが見えるほど一体化して見える。あたかも白銀を散歩するかのように、時に隼のよう鋭く雪を切りながら一瞬で遥か彼方へすっ飛んでしまう。パウダーの飛沫がキラキラと舞い漂い、それを見送ってからようやく私のスキーが軌跡を追う。しかし、ここまでの登行で消耗しきった足の筋肉は、もはやエッジを効かせて曲がることを許さない。スピードが出ると板がぶれ足が開く。そして逆ハの字になり股割け状態で、しかも顔面で止まる。それを繰り返してなんとか山を降りる。振り返れば、今まで美しく描かれていたらせん模様に、幾何学模様が混ざっている。規則的で連続的な美しいシュプール上に、何の芸術性もなくただ落書きをしてしまう私。でもそれはゴッホの絵画より美しく映え見えた。
この瞬間でしか見れない儚いデッサン。山は僕らのキャンバスだ。 ・・・なんちゃって!

山は巨大なキャンバスだ!


ケモ氏のデッサン








 テント場で日帰り組のお気楽さんケモ氏と別れる。テントを設営し雪を溶かしてお湯を作る。まずはビールで乾杯。毎度の事ながら申し訳ないぐらいに最高だ。鍋がぐつぐつと湯気を上げる。具がいい加減な定番の冬山メシ。大阪人たちは全員猫舌で熱々の鍋が辛そうだった。熱汁をたっぷり含んだ高野豆腐は要注意。時々足がつり立ち上がって足をほぐす。背丈より天井の高いテントはこんな時に有難さを感じる。常識的に山用テントではあり得ない高さだ(風に弱い)。雪をどんどん溶かし、きむっちとMATさんの水筒に溜める。きむっちのplatypusはジッパー開閉が出来るタイプで、ビリーカンから湯を移すとき開口が大きく注ぎ易い。デザートはマシュマロを軽く炙った甘〜いスイーツ。みな饒舌になり受動喫煙が始まる。満天の星空の下、日本酒の香につつまれたほろ酔いのテントであった。

アマナ平の我が家





 エアマットのない私は例によって腰の部分が冷たかった。何度も寝返りしたので両サイドは迷惑だったと思う。朝起きてみるとシェラフが水浸し。どうりで冷たかったわけである。きっと鍋用の水がこぼれたのだ。MATさんもplatypusが破れて水の上で寝ていたそうだ。冷たそう!

笹倉温泉






3月9日(日)快晴
 今日は最高の天気である。今期一番ではないだろうか。早速テントの脇を一番目のスキーヤーが通り過ぎてゆく。そして次々と・・・。ちょっと名残惜しいが、我々は朝から下山することにした。笹倉温泉で露天湯を楽しみ、集落の納屋に「おまんた」と書かれた看板に驚き、糸魚川でアンコウ定食を食べて帰路に着く。下界はもう春の陽気である。いよいよ春山シーズン到来だ。皆さん日焼けにご注意を!私は釣りが始まったのでスキーは毎週参加できないが、GWの連休には北アルプス界隈を滑ってみたいと思っている。その前にランニングで足腰を鍛えねば。まあーとにかく山スキーは地獄と天国の繰り返しだ。前回の三田原のように雪が降れば遭難、快晴ならばパラダイス。全ては自然に委ねられている。今はまだまだ経験不足であり何処へ行くにも何をやるにも新鮮で楽しいのだ。そしていつも新しい発見がある。

焼けにゃん




スライドショー


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