| 2002年11月 日本ではマンションの新規内装をしたり、新築後1年の建物などまだ新品同然でしょう。 綺麗好きな日本人の事だから、3年経ったってまだまだ新しい部類に入る。 ところが何故か上海のマンションは3年も経つと中古もいいトコ、日本の築20年の中古マンションよりみすぼらしくなってしまう。 一つには中国の埃っぽさが原因で、建物の外装などもすぐにくすんでしまうという事は確かにある。 だがそれだけではない。そのマンション住人のモラルもあるし、管理部の管理体制にだって問題がありそう。 うちのマンション管理費は毎月約200元、1u2元弱の計算だ。 最近の新しいマンションは大体1u3元くらい取られているらしい。 ・・・・・・・・・まぁ、快適さの代償と思えば仕方ない面もある。 お舅さんのマンションは築10年。管理費も半年で280元だから内容も推して知るべし、すでに内外ともかなり荒んでいる。 私が結婚の挨拶に上海へやって来たのが6年前。その時案内されて見上げたお舅さんのマンションは、どう見ても築20年くらい経っていると思ったが、実際はまだ築4年だった。 他に入居時、日本の修繕積立金に相当するものを前金で5000元払い込んでいる。 25階建て約120世帯分、これだけでも約60万元は集まっただろう。 当初はこれを基金にして、その銀行利子等で修繕費を賄う筈だった。 だが当時5〜6%あった利子も、今は1%ちょっとしかない。管理部から今はまだ何も言ってないが、この先どんな話になるのか見当も付かない。 高所得層の住むマンションは、管理費その他の滞納も少ないのか、管理も上手く運営されている所が多い。 定期的に外壁のクリーニングや内部の塗装、エレベーターの保守点検など確実に行われている。 高級マンションなら、住んでいる中国人もハイクラスの人が多いし、モラルだって割と徹底しているから、何年経っても比較的綺麗に維持されているからすぐ分かる。 これが低所得層の多いマンションになると、状況は一変する。 自分の部屋以外の共有部分の汚れなど、まず気にしない。気にしないどころか共有などという認識は殆どないから、ここでも早い者勝ちが幅を利かす。 空いているスペースなどあれば勿怪(もっけ)の幸い、勝手に自分の荷物などを置いて何食わぬ顔をしているし、まったく油断も隙もない。 ひどいのは平気で窓からゴミを投げ捨てる。 さすがに高層マンションでは、部屋を掃いた塵取りの埃くらいだが、5階建て前後の低層共同住宅では、ビニ袋に入ったゴミや蜜柑の皮だとかを、平気でポイと窓から投げ捨てる。 1階の住人は堪ったもんじゃないが、これも長い間の慣習と心得ていて、屋根などを作って取り合えず防衛策を講じているが、所詮イタチごっこの感は免れない。 うちのカミさんがマンション買うなら、立地条件も良く価格も高い方が、あとあと有利だという理由はこの辺りから来ているのだろう。 上海郊外のマンションなら今でも30万元(450万円)クラスも探せばあるが、中心部は同じ広さでも100万元(1500万円)を超えた。 それでも生活の便利さと、気分良く暮せる周りの環境や快適さを思えば、救われる部分もある。 自分の事しか考えない無遠慮な人達に囲まれて暮らすストレスを考えたら、お金の問題でなくなるからだ。
うちのマンションは上海中心部に位置しながら、どっち付かずの中間所得層マンションなので、その点、ちと厄介である。いま隣人と揉めている共有部分無断借用の問題などは、そのいい例だ。 この隣人の占有面積は150uを超える。私のところから比べれば40u以上も広いのだ。 それでもまだ足らないのか、僅か2u少々を共有面積と知っていながら侵犯した。 隣りの買い手が付かないうちに、サッサと建増ししてしまえば既得権獲得と思ったか・・・・・・ あまつさえ、自分のところが出っ張り過ぎて出入りし難いのに、ウチのドアの開き勝手が違う所為だと難癖を付けた事は前項でも書いた。 ところがそれは有らぬ濡れ衣で、悪いのは先方だと分かって、ウチが裁判までやると騒ぎ出した。 裁判まで持ち込めばウチが勝訴確実。女房、こうなりゃ力づくでも引っ込めさせると息巻いた。 管理部からそれを聞いた隣人は大いに慌てた。 攻守逆転!隣りは管理部まで味方に引き入れて懐柔策を検討。 今度は素直に非を認めて、丁重な和解金の申し出の挙に出て来た。 「よせよせ!そんな僅かな金貰ったって合わないぞ!大損するのはウチの方だぁ〜」 先行き、もしマンションを売るような事があったら、この出入り口のせせこましさを突かれて、目敏い買い手に大幅な値引きを迫られるのは目に見えている。ウチが逆の立場でもきっとそうするだろう。 だからこの際、多少隣りと凝(しこり)を残しても全面解決が望ましい。 マンションは女房の名義。持ち主として女房、今思案の日々を送っている。 通りから良く見えるマンションの敷地内に、大きな照明付き宣伝看板が植え込みに立っている。 マンション管理部が建てたものだ。 1.熱情的服務・・・・・・・心を込めた熱いサービス 2.真情的参与・・・・・・・困った時はいつでもお手伝い。 3.無情的管理・・・・・・・どこよりも厳しい管理 4.友情的合作・・・・・・・身内同然の友情溢れる協力関係 言う事は高級マンション並だが、どうも実態が伴っていない。どれ一つ取っても今いちピンと来ないのだ。 女房に聞くと、アレは「管理はこうしたいと思っている」のスローガンだから、気にしたってしょうがないの弁。 ウチのマンションなど、たった一人しか居ない外国人の私がカリカリしても、柳に風、暖簾に腕押しなのだ。 そもそも少々の事は気にしない、中国人の気風に問題があるのかも知れナイと最近はやや諦め気味。
入居当時は屋根付きの駐車場があって、マンション住人に限り、別途契約で20台くらいが駐車していた。 ところが今はどうだ!大通りから続くマンション敷地内の車道2車線、その片側を全部駐車スペースにしてしまった。住人に断りもなく済し崩しに既得権を獲得したつもりでいる。 勿論、駐車料は取っているから儲かるのは管理部だけ。そのお金の行方は何の説明もないから闇の中。 マンションの地下に自転車置き場があった。いや今もあるから「あった」というのは正しくない。 最初、下見に来た折、かなり広くて随分親切な造りをしていると感心したものだ。 ここも管理部は広くて勿体無いと思ったか、いつの間にか水道パイプ等を扱う店に半分ほど貸してしまった。 私ら東京と上海を3ヶ月毎に交替している渡り鳥だから、来る度に何かしら変わっている。 それで人の出入りが多くなった所為か、自転車の盗難が増えだした。 現にお舅さんから貰ったウチのヤクザな自転車、持って行く方も盗るに値しないと思ったのか、サドルだけ外されて持って行かれた。 ・・・・・・うちだって貰わなくても自転車を買う金くらいはある。 マンション内装工事中の通勤用にと、以前200元(3000円)で新品を買った。 内装工事も8割方終わり、年末に我々は一旦日本へ帰国。翌年高鳴る胸を押さえつつ、完成したマンション内装を楽しみにやって来た。 2〜3日して、フッと思い出したように自転車の事を女房に聞いた。 「あの自転車、何処に置いてあるんだ〜」 「・・・・・・・・・・盗られたって」 私らが日本へ帰った後、自分の自転車のように乗り回していたお舅さん。ちょっと眼を離した隙に盗られたらしい。それについての謝罪の言葉もなく、頬被りを決め込む辺りお舅さんも中々ヤル。 いくら身内でも婿さんの買ったモノだから、普通はさり気なく同じようなのを買って置いとくのが筋でしょう? これがしない!まったくその気がナイ!身内だから細かい事は言いっこなし・・・・・・・そんな感じだ。 数日後、私にもバレて多少バツが悪かったか、先ほどのヤクザな自転車を持ってきた。 どこかで拾ってきたか、腹癒せに他で都合を付けてきたのか、兎に角、見事なオンボロ自転車。 ペダルは擦り切れ、タイヤはツルツル。おまけにブレーキも片方しか利かない。 それならそれで、どうせならもう少しマシなのを都合して来て欲しかったなぁ〜・・・・・・ お舅さんはこれで一応埋め合わせたつもりだろうが、こっちは何だかおちょくられた様で釈然としない。 更に神経を逆撫でるが如く、つぶやいた決めセリフ。 「自転車はこのぐらいがいい。盗られる心配がナイ!」 何をかいわんや・・・・・・イタリア映画の名作「自転車泥棒」を思い出した。 話が色々飛んで申し訳ない。 専用の自転車置き場も盗難が多くなって、マンション住民も自衛策の為、自転車をエレベーターに乗せて自分の階まで上げるようになった。ホールに陣取る警備員も見て見ぬ振り。 瀟洒な玄関ホールの大理石の上、堂々と自転車を押して行く。各階廊下やエレベーターホールの白い壁は、ペンキ塗りなもんだから、アッという間にぶっつけ擦った自転車のタイヤ跡だらけ。 これでこのマンションの格も2段階くらい下がった。低所得層マンションとの距離が一気に縮まった気がする。 そのうち共有部分の壁も塗り替えると思うが、又、同じ塗料で塗るのは疑う余地もない。 汚れるのが分かっているなら、あまり汚れが付かない塗料を選択すれば良いのだが、そんな事を気にするほど管理部もヤワじゃない。・・・・・・・・結局、1ヶ月も経たない内に元の木阿弥。 塗料に限らず、まだ中国の純正品は性能や品質が悪く、納得の出来る良いものとなると、勢い輸入モノに頼らざるを得ないのが現状なのだ。・・・・・・・(分かっちゃいるが、高くて手が出ないのかも?)
低所得層マンションと見間違う理由はもう一つある。常駐する警備員が如何にもうらぶれている。 高級マンションの警備員募集要項は、背丈○○cm以上、年齢○○才以下などとハッキリ明示して、外見も見栄えがする若者を採用している。 どういう訳か、フランスかどっかの軍服を真似たカーキ色の制服を着て、黒のベレー帽を小粋に被っている。 上海でありながら、どこか外国の雰囲気を漂わさせて、売る側の魂胆計算がミエミエ。 こんな安っぽい手に中国人は案外惑わされやすい。先を争うように憧れの異国情緒を買い急ぐ。 ところがウチはどうだ!国営企業をレイオフされて、行き場のないおじさんが大半を占めている。 給料も半端でなく安いのだろう、年中コボしている。もう少し条件のいいとこが見付かったら辞めたいと・・・・・ 日本も上海もこの年代層には厳しいご時世。上海も1300万人を抱えていて、仕事があるだけまだマシな方。 人柄は純朴そうで当たりは良いのだが、ナント言っても覇気がない、元気がない。 支給の制服がそれに拍車をかける。最初は濃紺も鮮やかにキリリと締まった警備員らしい制服だった。 しかし中国製の安物は如何ともし難い・・・・・・・・・ 洗濯の度に濃紺色が落ちて、最近は褪めきってヨレヨレ。これじゃぁ威厳も何もない。 身形の良くない外部浸入者をゲートで厳しく詰問する姿は、どちらが侵入者なのか分からないくらいだ。
そのうらぶれた警備員の悩みの種。 マンションゲートの仰々しい鉄の門扉も3年で壊れた。押しても引いても、もうガタガタで開閉し難い。 ゲート入口に、警備員詰め所まで構える25階建てのマンション規模からして、日本では到底考えられない。 これはその時だけ、なんとか納まっていれば良しとする、安直な工事の為せる結果だろう。 工事職人達は、勿論、手を抜いたという感覚はナイ。それが中国全般のヤリ方なのだから仕方がない。 街に雨後の竹の子のように建つマンション工事現場を、興味深く観察していると施工スピードが日本と丸で違う事に驚く。それこそアッという間に出来てしまう感じだ。 高層マンションなど、当然コンクリートに強度が出る乾燥期間を置かなければならない筈。その筈が、殆ど無視されてドンドン進められているから早い。・・・・・・・・しかしこれは怖い! 一時、中国の建設会社はお互いライバル意識を燃やし、そのスピードを競っていたくらいだったから、尚更、事は重大だ。 おまけに幾ら地震が少ない上海とはいえ、2〜3年前まで鉄筋コンクリートは主要な柱のみ。その柱と柱の間はタダのレンガ積みで、30階も建ち上げていった。・・・・・・・イイ度胸というしかない。 「目で見る上海の街角・1996年〜1999年篇」に写真が載っているので特とご覧頂きたい。 日本の建設過程を知っている私にとって、これは驚愕すべき光景。アングリ開いた口が塞がらナイ。 だから、私は当初マンション購入に難色を示していた。買うなら一戸建てがいいと思ったが、上海は郊外まで行かないとナイので諦めた。中心部は殆どマンション一辺倒、已む無く性根を据えてマンション購入に踏み切った経緯がある。 最近建設中のマンションは、さすが質も気にしてきたのか、新しい建設方法を次々導入。 躯体(建物を形成する基礎・柱・壁)は全部鉄筋コンクリートになった。当然コストも上がったのだろう、それがマンション価格に跳ね返って、昨今の高騰に拍車をかける結果になった。 それでも大いなる前進!安心して住めるという事は、お金に代えられないものだ。 しかし喜んでばかりも居られないのが、肝心なウチのマンション。 完成してから買ったので建設中は見ていないが、竣工が3年前だから、多分恐怖のレンガ積みの旧施工方法で建てられたモノと推測出来る。 窓側の壁厚を見ると25cmもある。外壁だけではなく、内部を仕切る壁も25cmとヤケに厚い。 鉄筋コンクリートなら外壁厚は大体15cm、内壁は12cmくらいだろう。 恐らくそれに間違いないだろうが、女房には黙っている。分かったら最後、血液A型の心配症だから、ここを売り払って新しいのを買おうと言い出しかねない。そっちの方が地震よりコワイ! 6年前、始めて中国上海に来た時は、地下鉄だって1本だけだった。それがたったの6年で、今や4本の交通網が上海の上下を縦横に走っている。更に新路線も今工事中とか・・・・・・・・ 道路も拡張され歩道も整備された。街路樹が植えられ環境も格段に良くなった。 だが・・・・・・・・・早すぎる!素人目に考えても、これだけの都市改造が5年や6年で出来る筈がナイ! 上海も本格的な高層ビルや、様々な建築物一気に建ち始めてやっと10年。欠陥問題が起きるとすれば、寧ろこれからだろう。 安直に建ててしまったツケが、どんな形になって現れるか予想も付かないが、考えただけでも背筋が寒くなってきそうな今日この頃である。 10章 てんやわんやの衛生設備篇へ続く・・・・・・ |