儲かりまっか?上海

5.日本もどき!

                                                       2004年7月
 ひと頃、何でも日式と付ければ売れた時代があった。
外国の匂いに対する憧れからか、情報に餓えていた中国人は雪崩を打つが如く、それらに群がった。
時代を読む能力に長けた上海人経営者は、急ぎ自分の店のメニューに日式料理を加えた。
中身は日本式でも何でもないモノが多く、中国人お得意の見掛けだけ似せた「もどき」が横行した。
今でもその名残はある。日式やきそばを頼めば、中国麺にトマトケチャップをふんだんに使ったナポリタンスパゲティもどきのが出て来たりする。
つい先日も通りすがりに、旨そうな分厚い肉をサクサクした衣が包むとんかつ!の看板写真を見掛けた。
こんな本格的のが、とうとう上海でも食べられるようになったかと思うと、純粋な感動が込み上げてくる。
この店、点心がメインのようだが、とんかつの他にハンバーグやステーキなどの日式料理もあった。
しかも値段が30元(390円)前後とリーズナブル。すっかり気に入った私は、それでも高いと気乗りのしない女房を説き伏せ、期待を膨らませて入り口のドアを押した。
店内はまずまずの混雑振り、この店が良心的で味も良いという証拠だ。ますます期待は高まる。
灯台下暗し、偶然に見付けた餐庁だが、ウチからそう遠くもないし、今後ちょくちょく食べに来てもいい。

 やっと席を見付け、女房おもむろにメニューを見やる。私は当然さっき写真で見た“とんかつ”で決まりだ。
うちのカミさんは、どこの店でもメニューの端から端まで一応見ないと気が済まない性格と来ている。
江戸っ子の私としては、毎度我慢の限界を強いられる訳だが、そこで怒ったりしては衆人環視の中で思わぬ反撃に遭いかねない。結婚して8年、女房の手の内は知り尽くしている。
そこで悠然とした年上らしい包容力を見せながら、いつもこめかみをプルプル震わせてジッと待つ事になる。
まるで腹を空かして、ご主人から“おあずけ”を喰らっているワン公のようだ。
無愛想な小姐が水を持ってきたが、忙しい店は客の注文が決まるまで傍になど立っていない。
こりゃ時間が掛かりそうだと見るや、案の定、サッサと見切りを付けて行ってしまった。
女房、熟慮の末、やっとスパゲティに決定した。そんなに悩んで決めるほどの料理でもないと思うが、余計な事は言わないようにしている。
さて難題の注文は決まったが、今度は小姐がいくら呼んでもやって来ない。
どうも店内の広さからいって、ウェートレス、ウェーターの数が足らないようでもある。値段の安さから経費を抑えているのかとも思ったが、人件費の安い中国では珍しい。
女房、お上品に呼んでいては駄目だとみるや、スックと立ち上がり、周囲が振り向くほどの大声で叫んだ。
自分のミスを棚に上げ、他人を責めたり煽ったりする中国人お得意のパターンだ。

「スパゲティとトンカツ、それと〜何だっっけ?」
「あれだョ、あれ!」

私は店の入り口にあるカラーポスターを指さした。アイスクリームの上を包み込むように、新鮮なマンゴーの切り身が果汁を滴らせている。そんな涼感溢れる写真がデカデカと貼り出されていた。

「じゃぁ、あれ一つね、アイスクリームは食事の後にしてョ」

注文を聞きながら、伝票へ殴り付けるように書き込む小姐。忙しさのあまり、すでに気持ちの半分は他の仕事に飛んでいる。
手持ち無沙汰に水を啜りながら料理を待つ。夫婦も長くなると、これといった会話もないのが寂しい。
何気なくガラス越しに外を見ていると、ヨチヨチ歩きの子供を連れた母子が店から出てきた。その若い中国人の母親は、やおら子供の尻を捲くり、植え込みに向かってオシッコをさせ始めた。
ヤヤッ!この店にはトイレがないのか?それとも混んでいて間に合わなかったのか?
「上海も昔は散々飲み食いさせておきながら、無情にもトイレが無い餐庁が結構あったね」なんて色気とは程遠い下ネタ話で間を持たせていたら、小姐がやって来た。

テーブルにドンと置かれたのはアイスクリーム。
カチーン!女房の表情が一変する。ググッと喉元まで競り上がった「何聞いてんのョ!」の叱責言葉を遮り、

「いいョ、いいョ、後だって先だって大して変わらないよ」

と私は助け舟を出した。それはいいが、これ?モノが間違ってるんじゃないかぁ〜。
一目瞭然、カップに盛られたアイスクリームには、マンゴーフルーツの切れ端も乗っていない。
色は確かにオレンジ色ではあるが、どう見ても想像していたモノとは格段の開きがある。

「これ、あの写真と間違いないの?マンゴーはどこ行っちゃったのョ?」

小姐、慌てずマニュアル通りに言い放つ。マンゴーは予(あらかじ)めジューサーに掛け、アイスクリームの中に溶かし込んである。さも食べ易いように配慮したと言わんばかりの言い草だ。
そんなこと大きなお世話だ!オレは生のマンゴーが食べたかったのに、勝手に変えるなよな〜。

 こうなればすべてはトンカツに望みを繋ぐしかない。旨いトンカツを食べて帳尻を合わせるのだ!
期待で高鳴る胸を抑えつつ、マンゴー味のアイスクリームを二人で舐めながら待つ事しばし、今度はウェーターがお目当てのトンカツを運んで来た。
中国ではちょっと良い餐庁なら、ウェーターが直接料理をテーブルに並べる事はしない。目の前まで運んで来ても配膳するのは小姐の役目が普通だが、この店は忙しさでそんな事も言っていられないのだろう。
私はそんな事には少しも拘らないから、旨けりゃ誰が運んできたってイイ。

だが、これは何だ!客の期待を裏切るのも大概にしろ!もう助け舟など金輪際出せないぞ!
やっと運ばれてきた“とんかつ”を見て私は唖然とした。

「これ、違うぞ!絶対に違う!」

どう贔屓目に見ても、店先に出ていた写真とは似ても似つかない薄ぺったい中式揚げ物。
イタリアのミラノで食べたカツレツに酷似している。
ちょっと草臥れた感じのウェイター、おもむろに伝票を見詰めて

「間違い・・・・・ない」
「間違いないって、外の写真と随分違うじゃないか〜」

こんな苦情は日常茶飯事なのか、蝶ネクタイのちょっと曲がったウェイター、慌てず騒がず

「あれは宣伝の写真、美味そうに撮らなきゃ、お客さん頼まないでショ」

ムムッ、まぁそれは道理だ。いやいや、そんなことを言っているんじゃない!騙すような真似は良くないって言っているんだぁ。文化の違い、考え方の違いはどこまで行っても平行線だった。
ただ儲かりさえすれば良しとする、節操もヘッタクレもない中国人のしたたかさに、またしても脱帽。



 中には堂々と日本料理の看板を掲げ、店の造りも和風もどきにして、メニューなども怪しい日本語に代える猛者も現れだした。
更にエスカレートすると、店の小姐に絣(かすり)のハッピまで着せて、「歓迎光臨」から「いらっしゃませ〜」のたどたどしい日本語に無理やり路線変更。中国人経営者は、一層日本的雰囲気の演出に精出した。

2004年、上海で料理店を経営する日本人は、過当競争で苦しい営業を展開している。
本家本元が苦しいくらいだから、中国人や上海人でありながら、日本人経営を装って日本料理屋や日本蕎麦屋を出している「もどき」は更に苦しくて当然である。。
別にそういった営業をしてはいけないという法律はないのだから、まぁ文句も言えないが、それならそれで正式に日本料理を勉強するとか、経験を積むとかの努力はして欲しいと思う。
見せ掛けだけの日式ではもう通用しないし、日本への間違った認識にも繋がる。本家はいい迷惑という外なく、これでは正統派の日本料理店に益々客が来なくなってしまうだろう。
中国人にはそんなこと言っても暖簾に腕押し。儲かりそうだと思えばパッと飛び付くのだから、商機を逃さない早さ、巧みさ、調子よさ、三拍子揃った中国人のDNAは根っからの商売人といえる。
だが反面、正統派にとっては喜ばしいが、行動が早すぎて失敗が多いのも事実なのだ。
日本料理雑居ビル
昼間は閑散としている日本料理雑居ビル
やきにぐラメン
日本もどき組も、もう少し勉強したらいい

 私がよく散歩するコースに日本漢字の看板がケバケバしく踊る雑居ビルがあって、日本人が相手と思われる店が15軒ほど入っている。
3階建てのその1階には日本料理屋が2軒、居酒屋が1軒、マッサージ店が1軒、クラブが3軒がひしめき合って営業していた。
1年ほど前、そこへ割り込むように空きスペースを利用して日本蕎麦屋が開店した。
散歩ついでにちょいと覗きに行ってみると、さすが空きスペースを利用しただけあって、入り口は一枚の片引き戸でやけに狭い。その横にメニュー表示の看板が張り付けてあった。
かけそばが何と30元(400円)、天ぷらそばが40元(520円)、まるっきりそのまんま日本の値段だ。いつも女房と行く餐庁なら、30元あれば料理3品とってご飯が食べられる金額である。
いくら本場仕込みと書いてあっても、一杯のかけそばを二人で分けるような真似はしたくない。
おや?○○そばと書いてあるから蕎麦専門店と思ったら、なんだこの「やきにぐラメン」に「ワンダンメーン」は?日本蕎麦と中華との和中折衷かぁ。
それならそれでも構わないが、もっと誠意を持ってメニュー書いて欲しいよな。
これじゃ、見るからに不味そうで注文なんて来ないぞ。
更にメニューを追うと、あるある、まだまだ可笑しいのが。
「肉ジャガー」なんて随分恐そうだし、「スブダ」は酢豚のイメージが湧いて来ない。
「トライカレー」に至っては、これ食って何に挑戦させるんだろ〜。
こんなこっちゃ、中国人は騙せても、日本人はみんな笑っちゃうョ。

 その店、ユニークで笑わせてはくれたが、やはり値段の高さが足を引っ張り苦戦の営業。
私らはよくその雑居ビルの前を通るものの、横目で客の入りを気にしつつ素通りしていた。
開店して3ヶ月くらいたった頃、表通りに立て看板が出ていた・・・・・・「定食一律28元」(360円)
傍に寄ってしげしげと見てみると、5品目の定食メニュー、それぞれに1品小皿料理が付き、スープも入って28元と書いてある。かけそば1杯30元なのに随分思い切ったなと思った。
それでも私らにとって28元は馬鹿々しい金額、この辺りじゃ7元で定食を食べられる店だってある。
その後も私らの素通りは続いた。一旦東京へ帰り、3ヵ月後の秋に再びやって来た。
朝の日課の散歩。特別気にしていた訳ではないが、例のそのビルの前を通ると、以前見た立て看板がちょっと草臥れて相変わらず立っていた。
変わっていたのは、そこに書かれていたメニュー。忘れもしない「定食一律28元」の字の上が大きな×で訂正され、「一律18元」(230円)になっていた。
おまけに「開店6ヶ月感謝記念」と書き加えてある。
普通6ヶ月じゃ記念セールなんてやらないんじゃないかぁ〜。
よほど客の入りが悪いのか?開店半年で、もうそこまで追い込まれたかという感じがした。

「可哀想だから食べに行ってやろうか?」

いつも散歩で店の前を通るうち、私も妙な親近感が湧いてきている。

「まだ、まだだョ。あのお店とは全然関係ないんだから、ちっとも可哀想じゃないョ」

お説ごもっとも、女房のこの一言で又しばらく素通りの日が続いた。
それから半年、そんな話も忘れた頃、表通りに面した定位置に新しい看板が出現した。

「周年記念一律8元」・・・・・・8元(100円)の8の字がやけに大きい。
きっと経営者は、もう破れかぶれなのだろう。
開店から1年で実に75%の値下げ幅、これは記録ものだ。
月曜〜日曜までの7品目、日替わりでラーメン系麺物と色々な具をかけたご飯物の2種類がある。
ここに来て初めて女房も気持ちよくOKサインを出し、晴れて入店の日がやって来た。
8元ライス
経営者の悔しさ滲む8元ライス
庶民食堂
いまどき1元以下の朝食もある庶民食堂

「今日は何曜日だっけ?なに月曜、じゃぁ俺、ピーマン肉かけご飯だ」
「私はラーメンにするわ、え〜とピーマン肉かけラーメン」

なんだ具は同じで、ただ麺とご飯の違いだけか、マッ8元だから仕方ないか。
ビショビショで水が滴るようなお絞り付き、お茶だって大体このくらいまで安い店は自分でやるのが普通だが、小太りの若い小姐が入れてくれた。
店内に客は疎ら、やけっぱちで値下げした新メニューがまだ浸透していないのだろう。
多分に日本を意識して、正面の棚に載せられたテレビでは日本のBSが乱れた映像で流れている。その下の本棚には日本の漫画単行本がきちんと整理されて並んでいた。
そういえばこのビルの1階に以前レンタル本屋もあったっけ。
ハハァ〜ン、その本屋もこの蕎麦屋の経営だったのか。私も一度覗いた事があったが、割と高いレンタル料に驚き、一度も借りたことがなかった。
今は店内読み放題と張り紙がしてあって、希望すればレンタルにも応じるシステムに変えたようだ。
まだまだ諦めきれない様子が垣間見えた。

「しつれしま〜す」・・・・・・小姐も気の毒だ。一夜漬けの日本語じゃ、きっと言いづらいだろう。
「おっ、割とうまそうじゃん」
「アンタのだって本格的だね。こりゃ中国の麺じゃないぜ、これで8元は安いんじゃないか?」

私のは言ってみれば青椒肉糸、日本でも馴染みのあるチンジャオロースーなので食べ易い。
青いピーマンの細切りがちょっと辛いが結構いける。女房の方も、中国では普通である米粉から作った白い麺ではなく、黄色味掛かった懐かしい日本の縮れ麺に似ている。

「どぉ、そっちは美味い?」・・・・・・・・女房の浮かない顔
「まぁ、まぁだね、あんたも味見してみれば〜」

そういわれてちょっと摘んでみた。

「やっぱりラーメンは、しこしこ麺で歯切れが良くなくっちゃぁ、旨くないよね」

見た目の作りに、すっかり寸分違わない日本のラーメンと信じ込んでズズッと一気に啜った。

「・・・・・・・・・ありゃ、なんだか歯にくっ付くね〜。スープもこりゃ中国風だ」
「ここは麺類は駄目だね」

女房に小声で囁いた。女房も黙って大きく頷いた。



 それでもやはり値段の安さは魅力である。
日本でいう町のレストラン的味わいのご飯物が気に入って、2〜3日おきに食べに行っていた。

「今日は何に食べるの?」
「今日はって、毎日決まっているんだろ〜?」
「大丈夫ョ!何食べたって!」

女房の少々強引とも思える押しの強さで、チラシに書かれている月曜〜日曜の日替わり7品は、2回目からは事実上反故(ほご)にしてしまった。
中国での1週間は月曜とか火曜とかの呼び方がない。あくまで1、2、3と数え、同じなのは日曜の日だけなのだ。したがってこのチラシの書き方は中国人には通じず、あくまで日本人用なのである。
だがこの辺りの場所からいって、どれほどの日本人がランチを食べに来るかは見物だ。
1週間ほどしたら案の定、客は段々増えてきたが、思ったように中国人が多い。
学生さん、労働者風、たまたま通り掛かった中年のおばさん族などで客層は一気に変わった。
窮余の一策と安いランチを出したお蔭で、店側の意図しない方向へ流れて行っている。
各テーブルに置かれた正統メニューなど、誰も見向きもしない。全員が8元ライスが目的なのは明白で、当然のように日替わりの意味は無視され、それぞれがてんでに注文していた。
14品すべてが一律8元になってしまうと、厨房は忙しい。いつも閑散としていた店内はいきなり活気付き、てんてこまい。狭い通路を走り回る小姐の額に、小粒の汗が光っていた。

 昼時になるとブラッと現れ、大きな顔して8元(100円)ライスを食べて行く、あの二人連れ。
どうも夫婦には見えないし、男の方は日本人のようだ。日本人なら8元ライスしか食べないのは変だ?
あ〜いやだ、いやだ、きっと余程のケチか貧乏なんだよ。
注文を聞きに来た小姐のキラリと光る目が、私にそんな事を言っているように思えた。

「今日は野菜炒めもとってくれョ」

日本人はどうも人が好い。そんなこと放って置けばいいのに、いらぬ気を回してしまう。
8元ライスでも立派な客だと居直る反面、ケチだと思われているとすれば業腹だ。
冗談じゃない!貧乏とはいえ、そのくらいの金で困っちゃいないぞ!
いくら一周年記念とはいえ、メインが8元なのに、追加注文の野菜炒めが18元。
どうしてこんな値段設定をするんだろう。これじゃぁ、どうしたって損した気分になってしまう。

 或る日、上海に住む友人から電話が掛かってきた。
この友人、歳は私よりず〜と若いが中々苦労人で、いま上海で一旗揚げんものと頑張っている。

「お昼一緒にいかがですか?どこかいい店ありませんか?」
「いい店かどうか分からないけど、安い店なら近くにあるョ」
「いいですねぇ、そこにしましょう」

間もなくもう一人の友人を伴い、タクシーで乗り付けてきた。8元ライス食べるのにタクシーで来たんじゃ、タクシー代の方が高く付いただろうに。

「ここは日替わりになっているけど、何注文しても大丈夫だからね」
「へ〜そうなんすか、じゃ何でこんなチラシ作ったんだろ〜」
「麺はやめた方がいいね、腰がなくって歯にくっ付くョ」

こんな安い店で先輩風吹かしたって、自慢にも何もなりゃしないが、この店での上手な食べ方が次から次と淀みなく出てくる。初めて会った連れの友人なんか、呆気に取られてた。
いつもは客の中でも日本人など私ひとり。肩身の狭い思いをしていたが今日は助っ人が2人いる。
誰に遠慮がいるもんかの勢いで、久々に日本語が市民権を得たような店内だった。
結局、男3人が私のお薦めであるチキンライスを注文、女房だけその日の日替わり定食を頼んだ。

「結構美味いですね、これで8元じゃぁ安いっすョ、又来よう」

味も値段も評判は上々、がたいの大きい苦労人の友人は、一皿で足らなくてもう一皿注文した。
今日はいいお店を教えてもらったからと、その友人が気前よく100元札で支払った。
4人で5皿の消費、そこそこ満足してたったの40元(500円)だ。もうこれは涙モノの安さである。
間もなく小姐がお釣りを持ってきた。私なら無造作にそのままポケットに突っ込むところだが、この友人、苦労しているだけあってキチンと数えた。・・・・・足らない?
お釣りは60元の筈なのに、手元のお金は12元。こりゃ幾らなんでも足らなさ過ぎる。
さぁ、今日はなぜか大人しくしていた女房の出番だ。

「なんなのよ、これ!計算間違えたでしょ、お釣りは60元の筈ョ!」

鋭い追及、唾飛ぶ剣幕にびびった小姐は、「聞いて来るから」と後ずさりしながら奥へ戻った。

「あの〜、日替わり以外は20元だって言っているんですけど・・・・・」
「何言ってんのョ、ワタシこの前もその前も、別なのを8元で食べたわよ」

店側は「日本人ならあのチラシの意味が分かって注文したんだろう」と言わんばかりの対応。
いまだに日本人と見れば、こういった請求を平気でしてくる。
経営が苦しいのは分かるが、いつまでもこんな事をしていると、いよいよ日本人は来なくなる。
濡れ手に粟の商売はいい加減諦めて、誠実をモットーとする経営に変えて欲しいものだ。
店側はしぶしぶ60元のお釣りに代えてくれた。
背に腹はかえられず、仕方なく8元ライスなんて出しては見たが、本当はこんな事したくなかった。
そんな嘆きが今にも聞こえてきそうな「日本もどき」の店でありました。

6.オーナーは上海人!へ続く・・・・

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