上海の厳しい現実篇
10.続々・偽物アラカルト
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2007年1月 偽物例その3
6000元(90000円)もしたから、割といいやつだ。 ところが、これに組み込まれているウィンドウズソフトが海賊版コピー物だった。 私はPCオンチで詳しいことはよく分からないが、なんでも女房の話だと定期的にウィンドウズの更新をしなければならないとか。 それが出来なかった為に、初めて事は露見した。 女房は怒り心頭で、すぐさまパソコンを買った店まで直談判に及んだが、店側の言い分は、あの価格はパソコン本体だけのもので、ソフトについては店側の好意でインストールしたのだと逃げた。 そんな子供騙しの口上で納得などする筈がない女房は、頑として正規のバージョンと取り替えろ!と粘り、結局、本来なら1000元はする本物ウィンドウズを、200元にすることで手打ちにした。 因みに、裏で流通しているコピー物のウィンドウズソフトは、たったの5元(75円)で買えるとかでした。 偽物例その4 中国人が経営する日本料理店、これも最悪だ。 日本料理がどういうものかも、よく理解していないで、ただ儲かりそうだから始めたというのでは、これも立派な偽物の部類に入るだろう。 「儲かりまっか?上海」5章、6章でも述べたが、商売なんてそんな甘いもんじゃない。 ましてや、これだけ日本料理屋が増えれば、不味くて高いところは自然淘汰されるのがオチである。 薄くてせんべいのようなトンカツ、サクッと歯応えとは程遠いベチャベチャてんぷら、ぬるい味噌汁、まだ半分凍っている刺身、ただの卵豆腐を堂々と茶碗蒸しといって出す店、まったく枚挙に遑(いとま)がない。 偽物例その5 無農薬野菜と普通の野菜、どこが違うの? 大きな超市(スーパー)などの野菜売り場には、これ見よがしにデカデカと「無農薬野菜」とビラが張り出された別コ−ナーが大抵あるが、女房も私もまったく信用していない。 ただビラにそう書かれているだけで、信用に足る説明が何もなされていないからだ。 これでは普通の野菜を無農薬野菜と偽って、倍も高く売っても分かりっこない。 ほうれん草のパックに、半分腐ったのを混ぜて平気で売るくらいだから、大手スーパーもやることがセコくて、疑われても仕方がないところだ。 日本なら到底信じられない話で、もしそんなことが知れたら、営業停止はおろか、下手すれば廃業の憂き目だ。 でも、中国じゃ、「間違えました」といって、ちょっと当局の役人に袖の下でも使えば収まっちゃうんだろうね。 その点では確かに日本の店は安心して買い物が出来る。信用は勝ち取るまでに何年も掛かるが、失うのは1日で事足りるのだ。まぁ、段々に中国の経営者も分かってくるんじゃないだろうか。 中国はただ今発展中の過渡期だから、まだおかしなところが沢山あっても、当たり前なんでしょうかねぇ? あっ、無農薬野菜でしたね。ビラに書かれていることを鵜呑みにして買って行くのは、そういうことに毒されていない無防備な日本人が、ハイ!しっかり目立っていました。 偽物例その6
上海ではお祝い事にケーキは付き物で、誕生日、入学祝に進級祝い、春節祝いに勿論クリスマスと、何かにつけ直径40cmもあろうかという、巨大なケーキがテーブルを飾る。 大きくて見栄えがする割りに、120元(1800円)〜150元(2250円)くらいで買えるから、御呼ばれした時のお土産としても都合が良いようだ。 中国の面包屋(パン)さんのケーキも10年前から比べたら、格段の進歩をみせて美味しくはなった。 あっ!断っておきますが、10年前のケーキが、ケーキと呼ぶのには、ちと憚れるような代物だったから、確かにそれからすれば美味しくなったというレベルであります。そこのところをお間違えなく。 だから、正直言ってまだ日本のケーキ屋さんとの開きはかなりある。 そこを謙虚に受け止め、日々精進すれば、安くて美味しい中国のケーキ屋さんの誕生と相成るのだが、残念ながら昨今の金権風潮に流されて、味も作りもそのままで、値段だけどんどん釣り上げている。 5〜6年前まで小さなカットケーキは、1個3元(45円)〜5元(75円)までが相場だったが、今や、安いものでも6元(90円)するようになった。 この業界も暗黙の格付けがあるようで、個人経営の町のケーキ屋さんが6元とすれば、洒落たフランス語なんかを中国読みした、支店網を持つ中国メーカーのカットケーキで12元(180円)〜15元(225円)だ。 最高クラスのケーキ屋は20元(300円)〜25元(375円)で、ほぼ日本と変わらなくなってくる。 どこが違うかというと、う〜ん、やっぱり美味しいの一語に尽きる。腕のいい外国人菓子職人を雇っているか、海外で専門に勉強修行した中国人が作っているんでしょうね、きっと。 これなら付加価値が反映されているということで、高くても納得します、私は買わないけど。 さて、ここからが問題の物申すだ! 目先のはしっこい町のケーキ屋が、大胆不敵にも最高級店のケーキをそっくり真似して、素知らぬ顔で売っていることに腹立たしさを感じる訳である。私なんか、すぐ見掛けに騙されるから、余計頭にくる。 それが実に見事に出来ていて、色といい、形といい、大きさといい、完璧に近い。 値段も高級デパートへ行けば25元するのを、15元くらいでショーケースに並べている。 スケベ根性丸出しの私なんか、スゴク安いと思うわけでね、それでついつい肥満を気にしながらも買ってくる。 家に戻っておずおずと箱を開け、このケーキは恐らくこんな味、そのケーキは確か、中にお酒が沁みこんでいる筈とか、想像を逞しくして遠い日本のケーキを偲びながら、アングリとまずは一口。 ウン?想像とは似ても似つかない味!一瞬、味オンチになったのかと戸惑う。 私のはあくまで味の想像だから、それと似てなくても美味ければ問題ないのだが、これは明かに不味い所為だと確信した。これも偽物に迷惑した一例でしょうね。 偽物例その7 内装建材の偽物なんかは命に関わる。 上海も金持ちが増え、マンションの内装もどんどん高級志向に変わってきている。 私らが買った7年前頃は、マンションを買うことで精一杯で、とても内装までお金を掛けられない雰囲気があった。壁はペンキ塗りが主流で、床だってベニヤに木目を印刷したような、見掛けだけの素材も多かった。 それが今は壁はクロス、床は傷のつき難い塗装を施した、無垢材のフローリング。あちこちふんだんに大理石を使い、夜でも煌々と昼間のように明るい照明の下で、成金的金持ちは暮らしている。 今はまだ、新富裕層は一握りかも知れないが、今後、必ず増えていく事を考えても、次から次と購入欲をそそる目新しい内装建材が作られてくる事は想像に難くない。
試行錯誤の研究結果、中国独自の素材を作り出し、コストダウンしたものなら文句も言うまいが、化学薬品がタップリ沁みこんだ人畜有害建材では何もならない。 いや、何もならないだけならともかく、そこに住む人間の命に関わってくる問題だから、ことは重大だ。 中国は公害の規制も条例も、まだしっかりした枠組みが出来ていないので、見えない怖さを感じる。 すでに地方の工業地域では、工場から排出される有害物質で、川は赤色、黄色、青色に汚染され、深刻な状況であることは、中々表には出てこないが、知る人ぞ知る事実である。 現に我が家でも浴室の改装で、セメントに混ぜる調合糊に、この有害物質を含んだものを使ってしまった。 お舅さんがその調合糊を買いに行ったのだが、所詮は悲しいかな素人。 内容も確かめず、同じような缶だったからと、安い方を買ってきた。ちなみに本物は倍以上したそうな。 手間だけで請け負ったタイル屋さんから、「これを使うと、後で有害なものが染み出して、体に悪いんだ」と指摘されて、初めて分かった。 だが、分かった時はもう遅かった!そう言いつつも、自分の仕事の方が大事、「どうしますか?」と聞くこともなく、とっとと、それを使って貼り出してしまった。 まぁ、それから1年経つが、今のところ目立った症状が出ないから、ホッとはしていますがね。 偽物例その8 今はもう庶民にとって高嶺の花となってしまった中心部のマンション価格、私はこれも一種の偽物、まやかしの産物ではないかと思っている。 旧上海市に当たる中心部は、まだ強気の姿勢を崩さず、軒並みu3万元(45万円)の値を付けている。 日本の坪当たりに直すと、1485000円になるが、今の東京でこの金額なら、所有権の土地がゴロゴロある。 1室の平均的広さ100uとして4500万円、もはや価格だけは、この6〜7年で一気に追着いてしまった感がする。いや、寧ろそれ以上に高くなってしまったといっていい。 なぜなら、それは中国は借地権の上に建つマンションだからで、日本でも借地権マンションは、近辺の同等マンション所有権相場の7掛けくらいだからだ。 契約にもよるが、仮に50年後に無償で返さなければならないとしたら、日本でも中国でも安いのは当然の筈。 富裕層の上海人や、これまでマンションを買い漁った外国人投資家の中には、例え借地権マンションでもその値打ちは、すでに東京を凌いでいると豪語する向きもあろうが、私にはどうしても俄か成金的発想としか思えない。
上海のサラリーマンでは、平均的給与は3000元(45000円)くらい。 ボーナスを入れても年収は5万元(75万円)がいいところだ。 中国は夫婦共働きが普通だから、単純にその倍としても、合算で150万円である。 日本の銀行なら、150万円の年収では4500万円はおろか、100万円だって貸してくれないだろう。 この例は、上海でもかなり恵まれている方の部類なので、実際の平均からすると、まだ日本の5倍くらいの開きはあるのではないだろうか。 毎年2桁の経済成長を続けている中国だから、給料もそれに合わせて上がって行くだろうが、それがいつまでも続くという保証はどこにもないし、内陸の貧しい農村との格差是正問題もある。 ところが中国は、日本のバブル時と同じように不動産を担保にすれば、年収など適当に誤魔化した書類でもバンバン貸してしまった。そのツケは、いずれ近い将来必ず回ってくる気がしてならない。 最初は日本と同じ轍は踏むまいと慎重だった中国も、結局は地に足が着いていない景気に踊らされて、同じ道を歩いてしまうということだろうか。 上海には確かに1700万人も人間がいるが、マンションをこんなに造ってしまい、更に天井知らずなほど値段を釣り上げてしまっては、一体誰が買うのか?肝心の中国人が買えないようでは、疑問に思うのが自然だろう。 一説には上海中心部のマンションは、外国人投資家に6割以上も買われていると聞いた。 その集まった資金で、都市の整備を根本的にやり直した上海市も強かだが、物事には必ず表と裏がある。 今後、上海市がどのような発展を続けて行くかは、神のみぞ知るところだが、その強引さの結果がいつか足を引っ張ることにならないのを祈るばかりだ。 まっ、貧乏人の私がいくら憤っても、所詮、弱犬がキャンキャン吠えているのと同じこと。 中心部のマンションなど手が出ない庶民は、どんどん郊外へ追いやられてしまうのは、何も上海に限った訳ではないし、東京だって大手町のビル街や渋谷の繁華街に住む人は少ないだろう。 第一、そんな「土一升に金一升」のところに住むのは、贅沢過ぎるなどと思ってしまう。 結局は、この上海不動産バブルも時が経てば、日本と同じように落ち着くところに、ちゃんと落ち着くように出来ているのかも知れない。 偽物例その9
中国の最高額紙幣は100元札であるが、偽札はこれが一番多い。 デパートでも超市(スーパー)でも100元札を出すと、どんなに立て込んで忙しくても、2、3度裏表をひっくり返して、矯めつ眇めつ、蛍光灯に翳して確認している。 これを怠って売り上げに偽札が混じっていると、責任問題になり、最悪の場合、レジ係が本物と交換しなければならないと聞いた。もっとも、弁償じゃないから、このレジ係もどこかで使ってきちゃうんでしょうけどね。 その点、日本では偽札には殊の外敏感で、数枚発見されたり使われても大ニュースになる。 たった1枚の1万円札、場合によっては千円札でも、警察は犯人を血眼で追い、例え捜査費に1億円掛かろうとも、絶対に許さない。 だから偽札犯人の検挙率は、他の犯罪と比べても異常に高い筈だ。 それというのも、偽札を野放しにすれば、国家の存続に関わる大問題になるとの危機感があるからだろう。 中国はその辺がいい加減というか、寛容というか、国家を挙げて摘発に踏み切るような気配は今のところない。所謂、野放し状態なのである。 中国の消費者は、あらゆる偽物が氾濫する中、日夜、真贋の目を磨きながら暮らしている。 まったく、ウカウカしているとすぐ騙されるから、買い物ひとつ安心して出来ないというのが、今の中国の印象だ。もっとも、中国生まれ中国育ちの庶民にとっては、私らが考えるほど深刻ぶってはいない。 それはすでに日常に組み込まれた一部分であって、泥棒にも三分の利、騙される方にも目が利かなかったことや隙があったと、鷹揚に笑い飛ばす国民性がある。 中国の庶民クラスは、元々それほど金や物を持っていないから、日本の小金持ちと違って、例え騙されたとしても、再起不能に陥るなんてことはない所為(せい)ではないだろうか。
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