3.可愛い中学生?
| 私の住んでいるマンションの真向かいに、公立の中学校があります。 午前7時半キッカリ、厳格で規律正しい朝礼から始まり、勇壮な中国国歌が鳴り響く中、生徒も先生も最敬礼の国旗掲揚。 半端でないこの大音量攻勢に、私は否が応でも叩き起こされます。勿論、愛妻はナンノこれしき平気の平左で白河夜船の夢の中。 余程、風の強い日でない限り、パタパタとはためく赤い国旗に凛々しく最敬礼する絵になる場面にはお目に掛かれませんが、それでもキビキビして、見ていて気持ちの良いモノであります。 団塊の世代の私には、何故か過ぎ去った日々を彷彿とさせる懐かしさを感じさせます。 「なおれ!」(日本的にそんな感じ)の号令で、最前列より優等生の証である赤いスカーフをした可愛い女生徒が小走りに壇上を駆け上がり、軽快なテンポの曲と共に体操が始まる。 「一、二、三!」絶え間なく急かせるような掛け声付きである。 これが中々ハードで日本のラジオ体操など、恥ずかしくてお遊戯程度の運動量と認めざるを得ないくらいの激しさです。 何処の国でも、この年代は意気がったり、お調子者は居るもので、実に巧妙に手を抜いている生徒もいます。上から見下ろしているとよく分かるんです。 腕組をしたり、後で手組をした先生が睨みをきかせて、隈なく巡回して歩いています。 運悪く手抜きを見咎められた生徒が、先生に容赦なくド突かれている様を、私はプッと吹き出しながらシッカリ双眼鏡で覗いています。
体操が終わると、急げ!急げと煽るような行進曲が鳴り響き、列を整え駆け足で順々と校舎に吸い込まれて行きます。・・・・・・・・これで終わりと思いきや、ナントお次が待ち構えたように、まるで手品でも見ているかの如く、湧き出るように出て来るワ、出て来るワ。 決して狭い校庭ではないのですが、如何せん生徒が多すぎる為、二部制の朝礼だったのです。どこが一人っ子政策なのか、思わず眉に唾を付けたくなりましたヨ。 つい先日、度肝を抜く光景に遭遇しました。この日に限ってヤケに外が騒がしい。 時計を見れば、まだ朝6時で朝礼には早すぎる??おかしいなと思いつつ寝惚け眼でカーテン越しに外を見やると、やはり学校の生徒が校庭に所狭しと賑やかに集まっていました。 余程嬉しいのかキャッキャッ騒ぐ甲高い喋り声が一つになって、一種のウナリにも似た響きが、校舎や周囲のマンションに木霊となって共鳴音を轟かせていたのでした。 今日に限って、普段見慣れた紺のセーラー服に似た制服やブルーのジャージではありません。 色とりどりの華やかな私服でリュックまで背負ってじゃありませんか。 中国も豊かになりました、みすぼらしい身なりの子はついぞ見掛けられません。 ハハ〜ン今日は学校上げての課外授業か遠足か(古いなぁ)・・・・・・・・・ 中学校とは言え、押しなべて日本の中学生より身体が大きそう、女子生徒などロリコンパパドッキリの可憐でいて艶っぽいのも居ます。 反対に男子生徒は不精ヒゲにオヤジ然としたレスラーみたいにゴツイのも居て、なるべくなら側に寄って来て欲しくない威圧感を感じます。 続々とボロボロの大型バスが集結して来る。 よくぞここまで使い込んだと表彰モノのバスです。 日本の廃車置場を探したほうが、もう少しマシなのが有りそうと思えるくらいで、走っているのが不思議なほどの代物なのであります。 屋根は所々赤茶けた錆が点在していて、恐らく老朽度を考えると穴明きの心配もありそうで、雨の日は絶対に不向きであろうことは明白です。 真っ黒い排気ガスを撒き散らし、老馬に鞭打つが如く、断末魔のエンジン音を唸らせて途切れる事なく校庭に乗り入れて来た。 校庭は次々と、丸でヨタヨタの老牛を追い込むかのように老朽バスが並び、入り切れないバスは道路に横付けされ、それもまた長蛇の列となって壮観な眺めでありました。 教室に入った生徒が物珍しそうに、鈴生りの首を出して嬌声を上げています。 ナント総台数18台、ザッと900人の大移動。東京の公立小中学校では子供が少なくなり、統合を余儀なくされている現状を考えると、誠に羨ましい限りであリます。
校舎に響き渡る号令一下、年少の組から整然と校舎から出て来て、それぞれの先生の指示に従いバスに乗り込んでいきます。いや〜出てくるわ、出てくるわ、丸で手品のように引っ切り無しに出てくるのに唖然呆然! 段々と年長の2年生辺りからボツボツ列が崩れ始め、3年生が出てくる頃には先生の声を嗄らした怒号が飛び交い、騒然とした中にどこか滑稽な雰囲気でありました。 上から見ていると、男子生徒が私服の上に身体が大きいので、誰が先生か見分けがつかナイ。 ようやく準備万端整い、サテ出発と相成った訳ですが、さもありなん心配した通りヨタヨタの老バスには荷が重過ぎる。 1台約50人を乗せた老バスの悲壮感漂う孤軍奮闘ぶり、一層の黒煙をモウモウと排出しながら最後のご奉公とばかりの、涙なしでは語れない出発でありました。 この状況が今、中国全土で繰り広げられているかと思うと背筋に戦慄が走ります。 育ち盛りのこの子らの腹を満たしてやれねばならない中国。ひとりっ子政策によってやっと人口増加に歯止めが掛かったとは言え、桁の違う13億人。 あな恐ろしや・・・・・・・口に入るうちに今日はステーキを食べに行こう〜と。 |