1.喘息の甥っ子
| 上海の女房の実家に弟夫婦が同居している。 この弟夫婦に子供が男の子が一人いて3歳になるが、可哀想に喘息持ちである。 今は多少治まったが1年前はかなり酷く、発作が頻繁で3日を空けずに病院へ素っ飛んで行く始末だった。 又入院するかも知れないので、急いで現金を掻き集める。 中国の病院は、息も絶え絶え頑是無い子供が苦しそうに咳き込んでいても、前金を納めなければ診てくれない。 入院が長引けば費用をその都度補充しなければ、強制退院させられてしまうから親も必死だ。 私達夫婦が丁度、上海に居る時でその場面に遭遇すれば、急場の事とて勿論援助するが、男気を出して遣り過ぎれば今度は当てにされ、その内背負いきれなくなるのは目に見えている。 成るべく出しゃばら無いように、ファミリー全体で支える事を心掛けてはいるが・・・・・・ それにしても中国の医療費は高い。弟の給料が1200元のところへ、入院ともなれば病院の前金は1000元も払い込む。 いつか見るとは無しに、弟が部屋で背を向けて何やらゴソゴソ身を揺すってk作業中。私が後ろに居るのも気が付かない。 女房に「弟弟何やってんの?」と聞いた。 「入院費足らないからゲームボーイ売るって、今磨いているョ」・・・・・・・・ 30歳近くなってゲームボーイもないだろうが、兎に角弟が大事にしていたモノである。 思わず小声で「出してやれョ」と女房に言った事があった。 その後暫くして何かの折、ゲームボーイの話が出た時、やはり売ってしまったと聞いた。 私達が帰国後、又入院騒ぎが起こりその時手放したようだった。 お姑さんの話では、医療費は領収書さえシッカリ保管しておけば、1年〜2年後には期日指定で戻ってくるらしいが、忘れてしまいそうに気の長い話で今の今では役に立たない。
いきおい、退院後は風邪など引かせぬ様、過剰なまでのの防禦対策をとる事になる。 上海の実家は冬場も暖房器具がナイ。唯一娘の女房が独身時代に贈ったエアコンが食堂に1台有るが、それとて電気代の事を考えると滅多に点けない。 だから子供は家の中でもダルマのように着膨れしている。 外出ともなれば、更に有りっ丈の服を着せるから、本人は歩く事も侭ならナイ。 見るからに苦そうな薬を、追い掛け回し時には叩いてでも飲ませる・・・・・忍びない。 其れも此れも又入院でもされたらという、親の恐怖感が追い討ちをかけてる。 上海は空気が悪い、東京どころではナイ。中心部の道路事情は殆ど舗装され、都市作りは着々と進んではいるのだが兎に角埃っぽい。 半日街中に出かけて帰ると、シャツの襟など汚れがかなりヒドイ。耳の穴、鼻の穴もしかり。 だから喘息持ちの子供にとって、上海の繁華街近くに住んで居るのは病に良い筈がない。 上海郊外へでも転居すれば、病状も好転するかとも思うが諸般の事情で出来ないのが、なんとも残念である。 マンション内装時(涙のマンション内装格闘記参照)に45日私も同居していたが、この子がとても可愛い。変な先入観もなく素直だから、日本語を教えると面白いように覚える。 最初「オハヨウ」をしつこく繰り返したので、それが私の名前と勘違いしたらしく、今ではすっかり私は「オハヨウ」と言う名で定着してしまった。 最近、中国のインターネットに顔写真付きで、プロフィルを載せているのを見た。 日本で言えば芸能界の子役募集の際、目に留めて貰おうという狙いでチャンスを待っている。 年齢もお0歳から12歳くらいまで幅広く、どの子も満面の笑みで媚びているように見える。 何処の親も同じだろうが、自分の息子や娘が一番カワイイと思っているのは間違いナイ。 ご多分に漏れず、甥の親である弟弟も他の子を評し、「こんな程度でよく出てこられるョ! 親の顔が見てみたいモンだ!」と自画自賛。 私は「ここにいるョ」と言おうと思ったが、案外冗談が通じないからやめた・・・・・・・・ ハハァ〜ンそれで分かった。最近写真を撮ろうとすると、其れまで不機嫌だった顔が反射的にイキナリ白い歯を剥き出してニッとカメラ目線で笑う・・・・・・・よくゾ仕込んだものだ! だが・・・・・・・・・これは少々不気味でもある。 子供らしいあどけなさや純真さが見られず、何処か上海ドリームに毒されているが如く感じてしまう。 兎にも角にも、子供を育てるのは大変な事だが、ぜひ弟夫婦には頑張って欲しい。 一日も早く幼気な子供が喘息の苦しみから開放され、芸能界で活躍?出来る事を祈りたい。 |