上海の楽しい人々篇
8.2007年の夏
2007年10月
電動自転車盗難事件が、不本意ながら一件落着したので、早速、新たに購入するものだとばかり思っていたら、女房は取り敢えずは要らないという。
なんでやねん!電動自転車2台は最早、我が家にとって必要不可欠なものになっている。
1週間一度行く大量の買い物だって、2台で行くから何とか積んでこられるが、1台ではとても無理だ。
だが女房は、もう1ヶ月ちょっとで帰国が迫っているから、慌てて買わなくても今度来る時でいいと思っている。
大体、私たちの時間の感覚は、一般の日本人より相当ずれていると思わざるを得ない。これも中国に長く暮らしているせいだろうか?
海外旅行などあまりしたことがない人や、大型連休を利用して日本脱出する人だって精々10日間くらいだろう。それが一気に1ヶ月以上も外国で暮らすとなると、相当長く感じる筈だ。
ところが我々は、最早、3ヶ月の滞在でも短い。あっという間に、帰国の日がやってくるような感じだ。
そこで2年前から日本、上海、半年ずつのパターンにした。今年なんか、2月の春節をこちらで過ごし、3月初めに帰国して、慌てて税金の申告を済ませ、6月にはまた上海にやって来た。
半年のビザが切れる12月初めには帰るつもりでいるが、今年は日本に4ヶ月もいなかったことになる。
日本より上海の方が、何でもありの自由が刺激的だということもあるが、とにかく半年くらい瞬く間に経ってしまう。
早起きは三文の徳、朝の公園をパジャマでジョギングと思いきや?
堂々と人通りの多い街中を走り抜ける、根性おばさん
そういう意味もあって、1月は女房の言い分に素直に従ったが、6月に戻ってきても一向に電動車自転車を買う気配がない。業を煮やしてせっついたら、
「アンタ、大分お腹出てきたよ、体も良くなったんだから、少し運動したら?」
そういえば体調の悪さに託けて、殆ど運動らしきもにはやらなかった半年で大分肥った。
かねがね、何とかせにゃならんとは思っていたが、肥るより痩せる方が格段に難しい。
元々がメタボ体質であるから、脂肪の燃焼などちょっとくらいやっただけでは、波打つ腹の方は危機感などなく、ドンと来い!と嘲笑われてしまう。
女房は、そう言いつつ、最近、電動車を買ってから、とんと乗らなくなった弟の自転車を借りてきた。
タイヤの突起が派手な、オフロード向きの自転車である。
どこも舗装されてしまった上海の大都会に、凸凹道がどこにあるんじゃい。
道具が揃えば、私もやる気が出てきた。
8月中旬の猛暑厳しい中、朝早く2時間の自転車漕ぎを自らに課した。
だが悲しいかな、人に負けない優柔不断さ、意気地のなさで、2、3日もすると嫌で嫌で堪らなくなった。いつものパターンである。
元々、スポーツや運動が不得意な私は、まず、この怠け癖の克服から、何とかしなきゃならなかった。
ここで一念発起しなければ、今後、痩せることなど望むべくもない。
このままじゃ、私の葬式の棺桶も特注品になってしまうだろうし、第一、出棺の折に担いでくれる知り合いも、あまりの重さに悲しさが、つい笑いに変るかも知れない。
立つ鳥跡を濁さず、この際、笑い者になりたくなかったら、ダイエットを敢行するしかないのだ。
時は2007年夏の真っ盛り、幼児の“初めてのお使い”じゃないが、女房を伴わない一人行動は、上海に10年もいて滅多にない体験である。
だが最早、初老ともいえぬ域に達した体に鞭打っての、2時間ペダル漕ぎは相当辛い。
朝は道路の込まない6時半頃出て、幹線道路を一直線に走って行き、ちょうど1時間たったら、そのまま折り返して来る。最初は道路も良く分からないから、このパターンが多かったが、段々慣れてくれば欲が出て、地図を頼りにあちこちに出かけるようになった。
それでも東京で以前に買ったペダルマシンを、お宅っぽく一人ひっそりと部屋で漕ぐよりは、外の風を受けて回りの景色を見ながら走るだけでも、気分は全然違う。
走っている時はまだいいのだが、大きな交差点の信号待ちなどに当たったりすると、止まった途端に汗が吹き出てくる。上海の夏は、熱気が纏わりついて離れないような、執念深い暑さだから堪らない。
それでも私は頑張った!
手に朝食の万頭を持ちながら、道路の真ん中まで出てきてタクシー
を停めようとしている小姐・・・・・・この男っぽさがたまらない
良家の子女のような娘も、朝は歩きながら朝食代わりの中国焼餅を
頬張り、駅に向かう。
1週間もすると、破天荒な上海流の交通ルールにも大分慣れ、道行く人をウオッチングしながら乗れるほど余裕が出てきた。この気になる上海流交通ルールは、次回交通篇で詳しく述べることにする。
上海の若い小姐のファッションセンスはここ数年で飛躍的な磨きがかかり、どこで探してくるのか、同じような服を着ているのを見たことがない。
下はGパンなどのズボン系が圧倒的に多く、男勝りの上海小姐気質を如実に表している。
上の右写真のようなワンピース姿やスカートの類は、希少価値というか全体の1割にも満たない。
上海小姐はスタイルがいいから、この男っぽさがまたカッコいい。自分のスタイルに自信のある娘は、更に下半身の線がハッキリする細目のGパンを穿き、それを誇示するが如く闊歩している。
今年の夏はホットパンツが流行した。右を向いても左を見ても、生足!生足のオンパレード。
こんちきしょう!そんなにおじさんを嬉しがらせてどうするんだ!
だが注意が必要、これは後ろからチラチラと見るにとどめて、前に回って拝顔するような無謀は控えたい。
私も最初のうちは、後姿のスタイルの良さ、均整の取れた長い足に見蕩れて、どんな美人かと思い、自転車でゆっくり追い抜きながら振り向いて、しかと見たことがあったが、そのあまりの落差に愕然とした。
茶髪の長い髪をなびかせ、服にも靴にも気を使っているのに、表看板の顔がスッピンなのである。
このアンバランスさが中国の特徴なのだろうが、それにしてもいかにも惜しい。
化粧したら今の数倍は綺麗になれるのに・・・・・まっ、もう少し余裕が出てくれば、化粧品も買うようになるでしょう。
日本の大手化粧品メーカーが、10年先を見越して中国に進出してきたのは一昔前。
これではあと10年ぐらい掛かりそうである。
若い小姐がホットパンツで外灘を闊歩する・・・・・・この生足の魅力!
猛然と襲い掛かる自転車軍団・・・・・・ワタシ、大分慣れました
ファッションも今までの遅れを取り戻すかのように、猛然とダッシュをかけた。
現在、中国製の服や靴が世界に氾濫しているように、各国が労働賃金の安い中国に工場を建て、または発注して利益を享受している間に、したたかな中国人は同じデザインを無断で拝借し、横流しして、中国の服飾文化の発展に貢献してきた。
上海の本格的な開発が始まって10年、今や街を行く若い小姐のファッションはカラフルで、私ら中年族の目を楽しませてくれるまでに成長した。もうアパレル関係では、日本も水をあけられた感さえするのである。
慎み深い筈だった中国小姐も、4〜5年前から大胆にもヘソ出しルックにだって挑戦した。
最初のうちこそ、その数は少なかったが、最近ではすっかり市民権を得て、結構、見掛けることが多い。
股上の浅いGパン、丈が短めのTシャツ、愛くるしいヘソは丸見えである。ちょっと純情そうな娘など、時折、Tシャツの裾を引っ張って、その可愛いヘソを隠そうとしているのはご愛嬌だろうか。
このヘソ出し娘が一転、自転車に跨ると一気に興醒めとなる。
普通、こういうGパンを穿くときは、ビキニ系のパンティを着けるのだろうが、中国娘にはまだそこまで気が回らない。サドルに腰掛けたお尻からは、ポピュラーなパンティがずり上がり、色気は台無しになる。
自転車に乗らずとも、通常の歩きをしていて、少しパンティがはみ出している娘もいるから、もしかしたら、ヘソ出し用と知らずに買ったのかも知れない。
老体にとって、2時間の早朝の自転車漕ぎはつらい。
毎朝、何かしらの理由をつけて、今日はやめようかと考えるのは、無理からぬ話である。
雨など降っていると、ホッと胸を撫で下ろし、喜びが湧いてくる。人間、何で幸せを感じるか分からない。
マンションを出発して1時間くらいは、まだ勢いで走れるが、それを超えると急に馬力が落ちてくる。
あとはもう気力で頑張るしかない。この精神主義に陥り易いのが日本人、取り分け私らの世代の悪いところだ。
そうなると、もうあとは若い娘の後ろにピタッとついて、ペダルを漕ぐリズムに合わせて、左右に揺れるお尻を見ながら、気力を掻きたてるしかない。要するに単なるスケベ親父に変貌するのだ。
まるで鼻面に人参をぶら下げられた馬のように、必死になって若い小姐を追跡する様は、なにか物悲しくもある。
間違っても、でっぷりタイプのおばさんや、労働者風の男の後ろにはつかない。
こういう手合いは、走りながら時々唾を吐くから、後ろにいると諸に掛かりそうで絶対注意が必要。
それでも押しつ、押されつ、自転車ラッシュの流れで、不本位ながら後ろについてしまった場合は、アドレナリンを総動員してペダルをフル回転で漕ぎ、追い抜くようにしている。
動機や方法は多少不純でも、とにかく結果が大事。めでたく2ヶ月で5kgの減量に成功した。
上海も11月の声を聞くとさすがに寒い。もうホットパンツはおろか、ヘソ出しルックも見られなくなって、減量意欲は急激に失われつつある昨今、今また新たな発奮材料を探している。
9.止まって危ない赤信号へつづく
2007年11月01日分、次回更新まで中国ランキングのクリックよろしく。