1.バイクタクシーのおばさん
| 1998年春、上海徐匯区徐家匯での出来事。 愛妻の友人の招待を受け出掛ける事になった。場所は上海郊外にあり「タクシーは勿体無いと倹約家妻の一言でバスにて決定。 その日は生憎、日曜日なもんだからバス停も酷い混雑でありました。 次々とバスが来るには来るが、私達のお目当てのバスは中々やって来ない。 バス停が小さいところへ持ってきてうねるような人波だから,、様々な方面行きのバスが一度に来ると最後尾に着いたバスまでかなり距離がある。 その度に人垣が崩れ、右に左に大勢の人が駈け寄り突進する。したがってバス乗降口前は人で群れ、扉が開くや否や降りる人などお構いなしで乗り込もうとする。 中国ではバスを降りるのにも決死の覚悟がいる事を、目の当りに認識させられました。 「ダメ!ダメ!俺には無理、無理」この様相をも省みず乗るつもりの妻に断固抗議。
それで件のバイクタクシーと相成った。二人乗れるかどうかの狭い幌車を連結して走る。 早速、場所を提示しての値段交渉。丁丁発止の双方言い合いの末、漸く交渉妥結。 バイクタクシーは今では(2000年)すっかり姿を消したが、当時上海ではまだ有った。 許可制で身障者が優先されていたようだった。 このバイクタクシーのオバサンも足が不自由だったが威勢は良かった。 走り出して見るとやはり狭いのが堪える。 おまけにカーブなど不安定でひっくり返りそうだ。 必死に幌の鉄棒にしがみ付き、クッションなど無きに等しいバウンドに耐え辛抱。 傍らを走る自転車にも軽く追い越され、一体何時になったら着くやら不安だ渦巻く。 それにしても良く喋り、良く笑うオバサンである。 運転しながら器用に後ろを振り向き話しかけてくる。アブナイ事この上ない。 「ガハハハ〜、お前さん達どこから来たんダイ」こんな感じだ。 私は振り向く度にヒヤヒヤしていると、案の定・・・・・ドッカン!ガッチャン! 前方を走るバイクに追突してしまった。音が派手な割には大した事は無さそうだったが。 倒れた人もすぐ起き上がり、自分の怪我よりもバイクの損傷を気にしている。 オバサンは足が悪いから降りては行かずに、ハンドルを握ったまま笑い飛ばした。 上海では謝った方が負けである。話の感じでは、 「ガハハハ〜あんたが無理に割り込むからブレーキ掛ける間がなかったヨ」 女房と顔を見合わせ、そうじゃないだろ〜・・・・・・。 笑って誤魔化そうとする百戦錬磨のオバサンに、食い下がる怪我人。 暫く言い合っていたがオバサン旗色悪し、もはやこれまでと見るや今度は居丈高に開き直り、クシャクシャになった10元札3枚を放り投げた。 一応決着は見たが後味は悪い。心なしか気落ちしたオバサンは相変わらず口は達者だが、懲りたのか今度は振り向かない。 「ガハハハ〜、今日の稼ぎはパーになっちゃった」・・・・・・・・寂しそうな横顔を見せて呟く。 アクシデントの為に小1時間ほど掛かって到着。 取り決め料金10元プラス10元の気の毒料を払った。 結局、タクシーで行った方が早くて料金も変らなかった。 |